事業者様所有の分譲地の不動産売買において、敷地のほかに私道、ごみ置場の共有持分を対象として所有権移転登記をする場合、それらの土地に抵当権や根抵当権(以下、「担保権」という)が設定されていることがあります。
共有地以外の敷地については、先に担保権を全部抹消してから所有権移転登記を申請することになりますが、私道等の共有持分に担保権が設定されている場合は、売却が決まっている区画に相当する持分のみを抹消する必要があります。しかし、不動産登記法上、売主(分譲事業者)様の名義のまま担保権の一部抹消登記をすることは認められていません。
この場合の登記手続きを具体的に説明致します。
【具体例】
買主Aさんに敷地のほかに私道の持分10分の1を目的として、所有権移転登記をするには次の順番で登記申請を行います。
①敷地の担保権抹消登記
②敷地の売買による所有権移転登記
③私道等の売買による持分10分の1の持分移転登記
④私道等に登記された担保権を事業者様持分の担保権とする変更登記
1区画ずつ売却する毎に上記のような手法を用い、最後にすべての区画が完売したときには担保権の抹消登記を申請することになります。
④のような登記を「及ぼさない変更登記」と呼ぶことがあります。「及ぼさない変更登記」に必要な担保権解除証書等は通常の解除証書等とは異なる点がいくつかあります。
分譲地の担保権解除書類の作成でお悩みの金融機関様がいらっしゃいましたら、L&P司法書士法人までお気軽にお申し付けくださいませ。
(司法書士 伊東大輝/神戸事務所)
事業者様所有の分譲地に設定された担保権を抹消する場合
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