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2017.1.30

自筆証書遺言を貸金庫に入れておくと・・・

【内容】
 先日の依頼者のお話です。
 離婚、再婚などで家族関係の複雑な依頼者の父親が、生前、相続対策の一環で自筆証書遺言を書いて、父親はその遺言書を取引のある銀行の貸金庫で保管していました。数年後、父親が他界し、遺言書が貸金庫に入れてあることを父親から聞いていた依頼者は、遺言書通りに遺産を相続人で分けようと遺言書を取りに銀行に行きました。
 ところが、銀行から貸金庫は開けられないと拒否されたため、その依頼者は激怒しました。「なぜ、自分の父親の貸金庫が開けられないのだ。私は息子で相続人だ。」と言いましたが、銀行は「そういう決まりです。『所定の手続き』を踏まえて下さい。」の一点張りで、結局その日は貸金庫を開けてもらえず、後日相当の労力と時間をかけ、ようやく開扉でき遺言書を受け取ることができました。

 非常に理不尽だと感じられるかもしれませんが、これが今の銀行実務です。
 どの銀行でも概ね共通ですが、『所定の手続き』とは以下の通りです。
1.亡くなった人と相続人全員の戸籍謄本、除籍謄本等の提出
2.貸金庫の開扉と内容物の取り出しに関する同意書に相続人全員が署名し、実印での押印
3.相続人全員の印鑑証明書の提出
4.相続人全員の立会による貸金庫の開扉(立会の出来ない相続人がいる場合は委任状が必要)
※詳細は各銀行等金融機関にお問い合わせ下さい。

 不動産の権利証、株券や宝石など大切なものを貸金庫に保管している方の中には、ご自身で書いた自筆証書遺言も貸金庫に入れているという話を時々耳にします。遺言書は元気なうちに書くものなので、認知症などで判断能力が低下したり、ご本人が死亡したりした後には再度作り直すことはできません。そこで、重要で紛失するわけにはいかない遺言書を貸金庫で大切に保管する方が多いのです。

 ところがその一方で、上記の通り貸金庫の契約者が亡くなったことを知ると、銀行は預金口座同様、貸金庫も凍結し、内容物の取り出しに一切応じなくなります。これは、内容物を一部の相続人に引き渡したことによって相続人間の紛争に巻き込まれるのを防止するという、いわば銀行側の事情によるものです。これでは、せっかく遺言書を書いて、大切に保管していたとしても、相続人全員の協力が得られなければ遺言書を取り出すことができないため、遺言執行がスムーズに進められなくなってしまいます。

【対策として】
①「自筆証書遺言」ではなく「公正証書遺言」の方式で作成する。
→公正証書遺言であれば遺言書の原本は公証役場という国の機関に保管され、相続人であれば、その一人からの請求で謄本(法的な効力のある写し)がもらえます。銀行の貸金庫ではこのような対応はしてもらえません。
②司法書士・弁護士等の専門家に保管を委託する。
→遺言書の保管契約を締結することで安心して保管を任せられます。万一の時は保管契約で定めた人に遺言書を開示し、引き渡します。また守秘義務も課せられていますので、外部に遺言書の内容が漏れる恐れはありません。
③信託銀行の遺言信託を利用する。
→信託銀行が遺言書を保管し、相続発生時は信託銀行が遺言書の内容どおりに実行するサービスがあります。

 L&P司法書士法人では、上記①と②を併用するなど、遺言書を書かれる方の特性に合わせた問題解決方法のご提案が可能です。また司法書士の集合体である「法人」としての永続性を活かして、司法書士個人の事情に左右されずに、何十年先まででも保管することが可能です。ご興味のある方は桑田までお問い合わせ下さいませ。

(司法書士 桑田直樹/神戸事務所所長)
L&P司法書士法人