成年後見開始を裁判所に申し立てた場合、誰が成年後見人に選任されるかは、申立人やその家族にとって大きな関心事であると思われます。
ご家族の方が自身を後見人候補者として申し立てを行ったとしても、本人(=成年被後見人)の資産状況によっては、司法書士や弁護士等の第三者が裁判所から後見人、後見監督人として選任される場合があります。
先日、神奈川県内の裁判所でどのような指針に従って後見人を選任しているかを裁判所の担当者から聞くことができましたのでご紹介いたします。
(※以下2017年4月現在の運用指針です)
基準となるのは本人(=成年被後見人)の流動資産(現金+預貯金+有価証券の合計額)の残高で、下記金額により取り扱いが変わります。
・1,200万円以内→親族を後見人に選任
・1,200万円を超える→下記①~③のいずれか
①第三者(司法書士、弁護士等)を後見人に選任
②親族を後見人に選任、第三者(司法書士、弁護士等)を後見監督人に選任
③第三者(司法書士、弁護士等)を後見人に選任し、流動資産の大半を後見支援信託し、
信託完了後に親族を改めて後見人に選任
なお、弁護士等の第三者が関与する①~③の場合は、弁護士等への報酬の支払いが必要になります。
①は後見終了まで報酬が必要、②も①同様ですが報酬金額は①の半額程度、③は信託終了まで報酬が必要となっております。
※上記基準は神奈川県内の例ですので、管轄裁判所によって取扱いは異なります。
資産を含む諸々の事情を勘案して、第三者が後見人となるか決定しているようです。
成年後見を申し立てる際は上記内容を踏まえ、場合によっては第三者が後見人に選任される可能性を理解した上で手続きを進める必要があります。
(司法書士 足立浩一/東京事務所)
第三者が成年後見人に選任される可能性
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