先日、以下のような事例に出会いました(※日付は全て、実際の事例とは異なります)。
【不動産登記簿の記載事項】
登記の目的:所有権移転
原因:昭和1年1月1日相続
所有者:A
受付年月日:昭和2年1月1日受付第〇〇〇号
【Aさんの本人確認書類の記載事項】
生年月日:昭和1年2月1日生
この事例、よく見ると、Aさんが生まれる前の日付で相続したことになっています(原因:昭和1年1月1日相続の記載より)。もちろん、当時の登記が間違っていた訳ではありません。
原則、相続が発生した場合に相続人となりうるのは、相続当時に存在する人に限る(=相続人同時存在の原則)というルールが民法に定められております。ただし、以下のような例外があります。
※民法第886条
1.胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2.前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。
つまり、胎児(まだ生まれていない、母親のおなかの中にいる子どものこと)についても相続権が認められており、今回の事例は、Aさんが胎児のときに相続が発生し、生まれる前の日付を原因として登記がなされたものでした。 ちなみに、Aさんの戸籍を確認したところ「胎児」として届け出がなされた旨が記載されていました。
今回は昭和1年に発生した相続なので、いわゆる旧民法による相続ですが、旧民法でも胎児に相続権は認められていました。
他にも相続案件に関しては、様々な特殊な事案に直面することが多々あります。L&P司法書士法人は豊富な経験を持ったスタッフが親身に対応致しますので、お困りごとがございましたらぜひお気軽にご相談くださいませ。
(司法書士 深木祐介/神戸事務所)
生まれる前に不動産を取得できる?
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