今回は私たちが日常使うはんこ[印章]について触れたいと思います。
最近、大手金融機関では、はんこ[印章]不要で口座開設ができるようになる動きが見受けられますが、司法書士が取扱う法務局や裁判所に提出する書類には、原則としてはんこ[印章]による押印が必要です。
また、最近の最高裁判例※1では、遺言書への押印について、「遺言者が印章や拇印の代わりに日常使用していた手書きのサインである『花押』は、はんこ[印章]による押印と同視することはできない」として、押印の代わりに花押を書いた遺言書を無効としました。
「重要な文書は、署名押印することで完結させる慣行があり、『花押』を書く慣行はない」ことがその理由です。
はんこ[印章]の重要性がこの最高裁判例からも読み取れます。
はんこ[印章]の中でも特に実印※2については不動産の名義変更、株式会社の設立登記や相続手続等に使いますので、お手元でしっかりと管理しておくことが重要です。いざ実印を使う必要があるときに、実印がなかったり、実印が違っていた(実印だと思っていたはんこ[印章]の印影と印鑑証明書の印影が違っていた)りすると、市区町村役所で実印を再度登録し直すことになり、スムーズに手続きが進まない場合もありますので、くれぐれもご注意ください。
※1 平成28年6月3日最高裁判例
※2 実印とは、住民登録をしている地方自治体に印影を登録したはんこ[印章]をいいます。
(司法書士 山本耕司/神戸事務所)
はんこ[印章]の重要性について
- 投稿日:
- 更新日時: