見直しの内容について
令和4年3月25日、第二期成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定されました。ニュースでご覧になられた方もいらっしゃるとは思いますが、
当該計画では色々な観点から現行の成年後見制度の見直しについて論じられているなか、司法書士の目線から以下の部分に着目いたしました。
第二期成年後見制度利用促進基本計画 P7より抜粋(下線は筆者による)
成年後見制度等の見直しに向けた検討
成年後見制度については、他の支援による対応の可能性も踏まえて本人にとって適切な時機に必要な範囲・期間で利用できるようにすべき(必要性・補充性の考慮)、三類型を一元化すべき、終身ではなく有期(更新)の制度として見直しの機会を付与すべき、本人が必要とする身上保護や意思決定支援の内容やその変化に応じ後見人等を円滑に交代できるようにすべき
といった制度改正の方向性に関する指摘、障害者の権利に関する条約に基づく審査の状況を踏まえて見直すべきとの指摘、現状よりも公的な関与を強めて後見等を開始できるようにすべきとの指摘などがされている。
国は、障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活の継続や本人の地域社会への参加等のノーマライゼーションの理念を十分考慮した上で、こうした専門家会議における指摘も踏まえて、成年後見制度の見直しに向けた検討を行う。
現状の問題点
現状、成年後見制度(以下、単に制度といいます。)を利用すると、原則として本人(被後見人)が亡くなるまで後見人の業務は継続する取扱いであり、日常の財産管理はご親族の方が問題なく行えているが不動産の売却や高齢者施設との入所契約など重要な法律行為のみ後見人にお願いしたいという動機で制度の利用を希望される場合でも、後見人にお願いしたい業務が終わったとしても制度の利用をやめることができないことが制度の利用の妨げになっていた側面はあり、
今回の見直しにより一時的に制度を利用することができるようになれば、制度の利用促進になるのではないかと考えます。
終わりに
日本は超高齢社会であり、高齢者の人数は増加の一途をたどっています。
これから益々高齢者の皆様への支援が必要となるなかで、制度の見直しにより少しでも高齢者の皆様が安心・安全な生活を送っていただけるようご親族や高齢者支援に携わる方々が利用しやすい法令に改正がなされることを期待したいと思います。
【参考URL】
https://www.mhlw.go.jp/content/000917303.pdf